記事公開日 2023/04/07 更新日 2023/05/12
記事公開日 2023/04/07
更新日 2023/05/12
特養にできるだけ早く入所するための裏ワザをご存じですか?
特養は費用が抑えられる公的施設であることから人気があり、入所の申し込みをしてもすぐに入れるとは限りません。
本記事では特養に早く入所するための裏ワザや都道府県別の入所しやすさを紹介します。
特別養護老人ホームには、要介護度が高く自宅での生活が困難な方が暮らしています。
地方公共団体や社会福祉法人等が運営しており、施設内では身体介護、生活援助、機能訓練、健康管理などのサポートが受けられます。
他の老人ホームに比べると要介護度の高い入所者が多く、特養に入所できる対象者は原則要介護3以上です。
実際に要介護・要支援・非該当の方がどれだけ入所しているのか、施設種類ごとの割合を表にしました。
出典:厚生労働省「住まい支援の連携強化のための連絡協議会【第1回 資料】」、「高齢者向け住まい及び住まい事業者の運営実態に関する調査研究報告書」
特養の入所条件は原則要介護3以上ですが、やむを得ない事情で自宅での暮らしが困難だと判断された場合は、要介護1・2でも入所できることがあります。
やむを得ない事情には下記が例に挙げられます。
特養について、詳しくはこちらをご覧ください。
特養は安価で入所できるため人気が高く、入所までに時間がかかることがあります。
日本総合研究所の調査によると、特養に3カ月未満で入れた方は22.4%いましたが、一方で、入るまでに1年以上かかった方は35.8%です。
出典:一般財団法人日本総合研究所「特別養護老人ホームの入所申込者の 実態把握に関する調査研究」
特養に入所の申し込みをする方の多くは、要介護者の親族です。申し込み時にはすでに在宅介護に限界を感じているケースもあり、申し込みをしたらできるだけ早く入所に至ってほしいと思うことでしょう。
これからご紹介する裏ワザを使えば、申し込みから入所するまでの期間を縮められるかもしれません。
特養に早く入所するにはどうしたらいいのか、誰もが知りたいものです。
ここでは、やってみることで特養に早く入所できるかもしれない裏ワザをご紹介します。
情報収集を頻繁に行なうと、施設に空きが出た際に素早く対応できます。
空き情報はインターネットや電話で確認可能なので、すき間時間にこまめに確認しましょう。
また、ケアマネジャーが施設の空き情報を持っているかもしれません。担当のケアマネジャーがいる場合は、直接確認をしてみるとよいでしょう。
特養は、複数の施設に入所の申請ができます。
実際、日本総合研究所の「特別養護老人ホームの入所申込者の実態把握に関する調査研究」によると45.3%もの方が複数の施設に申し込んでいました。複数の施設に申し込むことで、入所が早まる可能性が高くなります。
ただし、注意点が2つあります。
特養への申し込みは地域によって制限されていることがあります。例えば、横浜市では1人の申し込みにつき5施設までです。
申し込む前には、市区町村のホームページや窓口で申し込み方法や条件などを確認してみてください。
また、入所が決定したら、他の施設への申し込みを取り消しましょう。競争率が高い地域では施設に空きが出るのを待っている方がたくさんいます。他の方に迷惑をかけないように気を付けましょう。
特養には「従来型特養」と「ユニット型特養」の2種類があります。
メリット :プライバシーを確保しやすい
デメリット:費用が高い(13万円程度)
従来型の大きなメリットは、月々の費用が安価ですむことです。費用面を重視したい方には従来型の多床室がおすすめですが、人気が高いため待機者も少なくありません。
一方、ユニット型の費用は高めに設定されていることから多床室ほどの人気はなく、競争率は低い傾向にあります。経済的に余裕があれば、競争率が比較的低いユニット型を狙うのもひとつの手です。
申込書に申し込み理由を丁寧に記載すると、入所の必要性をアピールできます。申し込みに至る経緯や、現在の暮らしで困っていることなどを詳しく書きましょう。
具体的には、自宅で介護を続けることが困難な理由や緊急性の高さを伝えれば、優先してもらえるかもしれません。
もし申し込み用紙に詳細な事情を書けるだけのスペースがないときは、別紙を用意して書きたい内容をすべて書くのがおすすめです。
ただし、別紙の添付を受け付けていない場合もあるため、事前に確認が必要でしょう。
早く入所するためには、申し込み後も状況の変化をこまめに報告することが有効です。
なぜなら、要介護度や症状、家庭環境は変化していくものだからです。
例えば、以下の状況に当てはまる場合は報告しましょう。
申し込み後もこれらの変化をこまめに報告することで、入所の順番が早まるかもしれません。
特養への入所は先着順ではありません。緊急性が高い方から優先的に入所が決まります。
日本総合研究所の報告書では、『施設が「優先して入所させるべき」と考える高齢者の条件等』を特養に尋ねた調査結果が記載されていました。
「介護放棄・虐待等の疑いがあること」が76.8%で最も多く、次いで「介護者が不在、一人暮らし、またはいても介護が困難なこと」が65.7%、「施設・病院から退所・退院を迫られている状況であること」が49.7%を占めた。これらの回答からは、高齢者の置かれている状況からみた入所の必要性の高さ(=緊急性が高い、逼迫している等)を重視していることがうかがえる。
出典:一般財団法人日本総合研究所「特別養護老人ホームの入所申込者の実態把握に関する調査研究報告書」
上記の内容より、事実に基づいた緊急性の高さをアピールすることで入所を優先させてもらえる可能性が高くなるとわかります。現状について詳細に伝え、緊急性を理解してもらいましょう。
特養にはショートステイが併設された施設もあります。ショートステイは介護を必要とする方が短い期間だけ施設に宿泊できるサービスで、長期の入所ができるわけではありません。
しかしショートステイを連続で利用したり何度も使ったりすることで、職員に現状を知ってもらえます。
職員と顔なじみになれば、緊急性の高さを理解してもらえる可能性がより高くなるでしょう。
また、実際に入所したときの生活イメージがつきやすくなります。
特養にはデイサービスを併設している施設もあります。併設のデイサービスを利用して職員と顔なじみになれば、上記で説明したショートステイと同様に現状を知ってもらうきっかけになるでしょう。
直接職員と顔を合わせることで、自宅介護の大変さを伝えやすくなります。
家族全員が仕事に就いている「介護者が不在」の状態は、緊急性が高いと判断される傾向があります。
日中に誰かがいると支援する人手があるとみなされ、緊急性が低いと判断される可能性が高いのです。
また、厚生労働省は介護離職の防止を推進しており、共働きで介護ができない家庭の優先順位を上げる傾向があります。
家族全員が就労可能であれば、優先度を上げるために仕事に就くこともひとつの手です。
特養は、現在お住まいの地域以外の施設にも申し込みできます。
東京都などの人口が多い地域や、特養が少ない地域に住んでいるのであれば、少し離れた地域やゆかりのある別の地域の特養を探してみるのもよいかもしれません。
ただし、地域密着型の特養は同じ地域に住民票がないと入所できないので、広域型の特養を探すようにしましょう。
いったいどこの都道府県なら特養へ入所しやすいのか気になるところです。
都道府県別の入所難易度は、申込者数を特養の定員数で割った数値が参考になります。数値が高いほど入所しにくく、反対に、数値が低いほど入所しやすいことを表しています。
ただしこの数値には空室数などが反映されているわけではありません。あくまでも参考値であることをご了承ください。
ここでは、厚生労働省のデータを参考に、特養に入所しやすい・しにくい都道府県をランキング形式でご紹介します。
なお、申込者数は要介護3以上の方の数字です。
参考:厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)」、e-Stat「介護サービス施設・事業所調査」
特養の定員に対して申込者数が少なければ入所しやすいといえます。
奈良県や石川県は定員が1万を切っていますが、申込者数が少ないため入所の難易度は低い傾向です。
その一方で、47都道府県でもっとも入所難易度が高いのは山梨県です。山梨県は入所難易度が1を超えており、これは定員より申込者数が多いことを表しています。
一般的に都市部のほうが入所の難易度が高いといわれますが、入所のしやすさで東京都は20位、神奈川県14位、千葉県15位、大阪府10位、愛知県5位、福岡県9位と、都市部の順位は高い傾向です。
あくまで目安の数値となりますが、「都市部の特養は入所しにくいかも」と諦める必要はないのかもしれません。
また、できるだけ早く入所したいのであれば、入所しやすい都道府県への申し込みを検討してみるのも有効でしょう。
裏ワザについてはお伝えした通りですが、ここでは特養に関するよくある質問と回答を紹介します。
申し込みをしたあとも、体調や環境の変化についてこまめに報告しましょう。報告内容によっては緊急性が高くなったと認められ、入所の優先度が高まることがあります。
また、特養は複数の施設に申し込めるため、待機期間中に他の施設に申し込むのもよいでしょう。
コネを使って早く入所できる可能性はゼロではありませんが、実際にコネを使うのは困難と考えるのが妥当といえます。
なぜなら、そもそも人脈がなければコネ入所を検討することもできませんし、コネ入所は施設に批判が集まりやすいからです。
基本的に入所は事実に基づいた緊急性の高さで優先度が決められます。
緊急性の高さを理解してもらうためには、裏ワザでご紹介した通り職員に現状を直接見てもらうのもよい方法です。特養に併設されたデイサービスやショートステイを積極的に利用し、職員とコミュニケーションをとるようにしましょう。
また、コネにはなりませんが、ケアマネジャーは地域の事情に詳しいので相談してみることをおすすめします。
特養は要介護度が高く在宅介護が困難な方を受け入れる施設となります。暮らしの質を保ちつつ長期的に暮らせ、公的な介護保険施設のため費用を抑えられるのが特徴です。
一方、介護付き有料老人ホームは自立から要介護5までと幅広い方を受け入れていますが、入所条件は要介護以上、要支援以上など施設によって異なります。
民間が運営しており、特養と比べると費用が高い傾向です。
提供されるサービスはどちらの施設も似ていますが、介護付き有料老人ホームは付加価値の高いサービスを提供する施設が多くあります。例えば、基準以上のスタッフが配置されている、食事の質が高いなどです。
費用負担は増えますが、経済的に余裕があれば介護付き有料老人ホームを併せて検討してもよいでしょう。
頻繁な情報収集や申し込み後の変化をこまめに報告することなど、特養に早く入所するための10のコツをお伝えしました。
また、入所難易度の高い都道府県に住んでいるのであれば、他の地域に申し込むことで早く入所できる可能性が高くなります。
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