サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の費用は?賃料や食費など項目別に解説

記事公開日 2023/03/07

記事公開日 2023/03/07

サ高住の費用

(*2023年3月7日更新)
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への入居を検討する際、気になるのが費用です。サ高住では月額費用に加え、敷金や入居一時金などの初期費用がかかります。
この記事では、サ高住に住むために必要な費用について、ひとつずつ解説します。

サ高住とは

サ高住とは高齢者向けのサポートが付いた住宅のことで、正式にはサービス付き高齢者向け住宅と呼ばれています。
サ高住では安否確認サービス生活相談サービスの提供が義務付けられており、高齢者が安心して暮らせるよう配慮されています。住宅内がバリアフリー構造になっているのも特徴のひとつです。

サ高住は、自立に近い高齢者向けの「一般型」と、サ高住のスタッフが介護サービスを提供する「介護型」の2つの形態があります。
ただしほとんどのサ高住が「一般型」であり、「介護型」は2020年時点でわずか8%程度しかないのが現状です。

一般型

主に自立に近い高齢者を入居対象とした「一般型」に入居するためには、多くの場合で賃貸借契約を結びます。一般的なアパートやマンションの賃貸に近いかたちといえるでしょう。
介護サービスの提供はないため、必要な際には外部の介護事業者と個別で契約します。

介護型

「介護型」は特定施設入居者生活介護の指定を受けたサ高住で、主に利用権契約を結んで入居します。
利用権契約とは、建物内に居住する契約と介護など各種サービスを利用するための契約が一体化したものです。

介護型のサ高住では、常駐のスタッフから介護や生活支援のサービスを受けられます。

サ高住でかかる費用

サ高住でかかる費用

サ高住でかかる費用は大きく「初期費用」と「月額費用」の2つに分けられます。

■初期費用
・敷金
・入居一時金
■月額費用
・賃料
・共益費
・食費
・光熱水費
・生活支援サービス費
・介護保険サービス費

ここでは、サ高住でかかる費用について細かい項目ごとに解説します。

初期費用

初期費用はサ高住に入居するにあたり必要になる費用です。
賃貸借契約を結ぶ「一般型」は敷金が、利用権契約を結ぶ「介護型」は入居一時金が必要となることが多いでしょう。

敷金

敷金とは、家賃の未払いがあったときなどに必要なお金です。一般型のサ高住で必要になり、退去時には未払い分やクリーニング代を差し引いた金額が手元に戻ってきます。

敷金の額は「家賃 × ○カ月分」という計算方法で、何カ月分必要かは住宅によって異なります。2~3カ月分が一般的ですが、5カ月分以上というも住宅もありますし、なかには必要としない住宅もあります。

入居一時金

入居一時金は家賃の前払いに相当するお金で、介護型のサ高住で必要となります。入居想定期間の家賃すべて、または一部を入居時にまとめて支払う仕組みです。

入居一時金は0円から数千万円とサ高住によって異なるため、入居者の経済状況に合わせて選ぶ必要があるでしょう。
高額な入居一時金はデメリットといえますが、月々の家賃を支払う必要がない、または一部のみとなるので月額費用を抑えられるメリットもあります。

月額費用

月額費用とは毎月かかる費用のことです。
サ高住での生活には、毎月下記のような費用がかかります。

・賃料
・共益費
・食費
・光熱水費
・生活支援サービス費
・介護保険サービス費

PwCコンサルティング合同会社『高齢者向け住まいにおける運営形態の多様化に関する実態調査研究報告書』によると、一般型のサ高住の月額費用は平均で14万2,215円です。

具体的な項目別の費用も上記資料を参考に解説しますが、ここで紹介する平均費用はすべて一般型のサ高住となります。
また、住宅によっては料金項目の名称が変わることもありますが、ぜひ相場の目安として参考にしてみてください。

賃料

サ高住の賃料は平均6万1,344円です。
サ高住の居室は、床面積が原則25㎡以上(条件によっては18㎡以上)、最低でもトイレと洗面設備の設置が義務付けられています。浴室、キッチン、収納などが居室についていたり、基準以上の広さがあれば、そのぶん料金も高くなるでしょう。
また、都市部は高く地方のほうが安い傾向です。

共益費

サ高住の共益費の平均は1万9,023円です。
共同の設備や施設の運営・維持にかかる費用などが共益費に当たります。サ高住には食堂や浴室などの共同スペースもあるため、一般的な賃貸住宅に比べると共益費は高い傾向です。

ただし設定額はサ高住ごとに大きな差がある場合があります。実際にかかる共益費やその内訳は各住宅に確認しましょう。

食費

サ高住の食費の平均は4万5,877円です。
サ高住に食事を用意する義務はありませんが、多くの住宅では3食の食事を提供しています。食事へのこだわりはさまざまで、専属シェフがいたり、メニューを選べる住宅もあります。
食事へのこだわりが強いサ高住であれば、当然食費も高めになるでしょう。

「食事は自分で作りたい」という方であれば自炊も可能です。サ高住にはキッチン付きの居室や共用キッチンがあるため、自炊をして食費を抑えることもできます。

光熱水費

サ高住の光熱水費は平均1,566円です。
光熱水費は各居室で使用した分だけ請求されることもありますし、毎月固定の料金がかかることもあります。

平均が千円台とかなり安くなっていますが、これは光熱水費が他の費用項目に含まれているサ高住も多いことが考えられます。

生活支援サービス費

サ高住の生活支援サービス費は、基本サービス費などと合わせて平均19,011円です。
 
サ高住では安否確認生活相談のサービスが必ず提供されます。生活支援サービスに関する費用は、これらのサービスや緊急時の対応、その他の生活支援サービスなどが対象です。

別途、有料サービスとして、郵便物の受け取りや買い物の代行、居室の掃除、ごみ回収、通院や外出の介助などが受けられますが、料金設定はサ高住ごとに異なります。

介護保険サービス費

介護保険サービス費は一般型と介護型で異なります。

サ高住(一般型)
一般型のサ高住で介護サービスを受けるには、外部の介護事業者と契約が必要です。通常の在宅介護のように訪問介護やデイサービスなどを利用するため、利用しただけの自己負担分の費用がかかります。
利用限度額は介護度ごとに決められ、介護度が高くなるとその額も大きくなります。1カ月の目安は以下です。

サ高住(一般型)介護保険サービス費 一覧
※1単位10円、1カ月=30日の場合

利用限度額を超えた分は全額自己負担となるため注意が必要です。

サ高住(介護型)
介護型のサ高住では、スタッフが24時間の介護サービスを提供しています。そのため、介護サービス費は介護度に応じて一定です。利用頻度によって変わることもありません。
介護サービス費の目安は以下の通りです。

サ高住(介護型)介護保険サービス費 一覧
※1単位10円、1カ月=30日の場合

介護型のサ高住は、1日あたりの料金が決まっていること、いつでも困ったときにケアを受けられることから、お金や介護の面で安心感があります。

介護サービスの利用頻度が少なければ一般型が、多いのであれば介護型のほうが介護サービス費がお得になりやすいでしょう。

サ高住の費用に関するよくある質問

サ高住の費用に関するよくある質問

ここでは、サ高住の費用に関するよくある質問について回答します。

生活保護を受けていてもサ高住に入居できる?

生活保護を受けていてもサ高住に入居できる可能性はあります。
まずは入居を希望するサ高住に、生活保護受給者を受け入れているか確認しましょう。受け入れ可能であれば、家賃や生活支援サービス費などの費用も確認します。

生活保護受給者がサ高住に入居する際には、賃料を住宅扶助の範囲内に収める必要があります。介護保険サービスは自己負担なく利用可能ですが、食費や生活支援サービス費などは生活扶助でまかないます。

詳しくはケアワーカーや入居を希望するサ高住に直接相談してみてください。

クーリングオフはできる?

クーリングオフとは、訪問販売や電話勧誘などで冷静な判断ができないまま商品の購入や契約などをしてしまった際に、契約を解除できる制度です。通常、このクーリングオフ制度は賃貸契約には適応されません。

しかしサ高住に関しては、入居後3カ月(90日)以内の退去であれば前払いした料金の返還が行われると老人福祉法で定められています。
3カ月以内に契約を解除したり入居者が亡くなったりした場合には、家賃の日割り分を差し引いて返還されます。

ただし、入居中に利用した食事提供などのサービス費用や水道光熱費は、入居者に支払う義務が生じます。家賃も含め利用しただけの費用は支払い、残りの利用していない料金を返してもらうといった考え方です。

このような返還金に関してはトラブルになりやすいため、契約の際には内容をよく確認しておきましょう。

連帯保証人・身元引受人が見つからない場合には?

身内がいないなどで連帯保証人を探すことが難しい場合には、代行してくれる団体の利用が可能です。もっとも有名なのは、一般財団法人高齢者住宅財団の家賃債務保証制度でしょう。
多くの老人ホームやサ高住が、連帯保証人がいない入居希望者に対してこの保証制度を案内しています。

身元引受人も代行団体への依頼が可能で、通常の身元引受人と同様に緊急時の連絡先も引き受けてくれます。
葬儀・納骨の支援や生活支援、財産管理といったサービスを追加できることも多いようです。

費用やサービスを比較してサ高住の検討を

サ高住は高齢者が自由で安心した暮らしをしやすい住宅ですが、「一般型」と「介護型」では特徴が異なります。
「一般型」では敷金が、「介護型」では入居一時金がかかることが多いでしょう。

また、介護サービス費についても違いがあります。「一般型」は外部の事業者と契約するため、訪問介護やデイサービスを利用したぶんだけ支払います。「介護型」はサ高住のスタッフがサービスを提供するため、料金は要介護度ごとに一定です。

今回は費用の目安をご紹介しましたが、設備や立地、サービスの充実度などによって料金は大きく変わります。
オアシス介護ではエリアや費用ごとにサ高住を探せます。ぜひ希望する条件で絞り込んで探してみてくださいね。

老人ホーム相談室LP

著者:オアシス介護

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