「要介護3」はどんな身体状態?入居できる老人ホームは?

記事公開日 2022/05/28

記事公開日 2022/05/28

在宅で介護をしていると、老人ホームに入居するタイミングに迷うことも多いかもしれません。要介護者の心身の状態にもよりますが、実は要介護3で在宅介護にかかる時間が大きく増えます。
ここでは、要介護3の状態や入居できる老人ホーム、介護サービスについて解説します。

要介護3の状態とは

高齢者が「介護保険サービスを使いたい」と思ったら、要介護認定を受ける必要があります。
要介護認定とは、申請した高齢者がどの程度介護が必要な状態にあるかを判定するものです。この認定により介護が必要と判断されれば、介護保険サービスの利用が可能になります。

要介護度は、要支援1・2、要介護1~5の7段階。
要支援1・2は、要介護状態となるおそれがあり、日常生活に支援が必要です。要介護1や2では、自分である程度のことはできるものの手助けが必要な状態を指します。

では、要介護3はどんな状態なのでしょうか。
要介護3は、一人でできないことがより多くなります。身だしなみや部屋の清掃、排泄などの身の回りの世話が一人では行なえず、立ち上がりなどの動作も一人で行えないことがあります。日常生活の動作の中で全面的な介護が必要です。
また、要介護3の状態では、何らかの問題行動や全般的な理解力の低下がみられる可能性も高くなってきます。

ちなみに、要介護4・5に該当するのは、移動や排泄、身の回りのことなどが自分自身でほとんどできない状態です。

要介護3の高齢者の在宅介護にどれだけ時間がかかっているか、「同居の家族などが介護にかかる時間」に関する厚生労働省の調査結果があります。
これによると、「ほとんど終日」と「半日程度」と回答した割合は以下のようになります。

要介護1 終日14.6% 半日8. 9% 合計23.5%
要介護2 終日20.7% 半日12.3% 合計33%
要介護3 終日32.6% 半日16.4% 合計49%
要介護4 終日45.3% 半日19.8% 合計65.1%
要介護5 終日54.6% 半日10.8% 合計65.4%

*厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査」より

要介護3では、およそ半数が半日以上介護をしていることがわかります。また、要介護3以上では、終日介護をしている割合がもっとも高い結果となっていました。
つまり、要介護3とは要介護2までの状態に比べて大きく介護負担が増える状態といえるでしょう。

要介護3で老人ホームに入居するなら

特別養護老人ホーム(特養)では、2015年の介護保険改正によって入所条件が要介護3に引き上げられました。在宅介護が困難な方の受け入れをより重視するような変更です。
このことからも、要介護3が大きな境目になっているといえるでしょう。

特養は所得によって軽減措置があるため、比較的安く入所できます。ただし、緊急性の高い人が優先されるため、早く申し込んだからといって順番通りに入所ができるとは限りません。
入所待ちが多く、入れるまでに数年かかることもあります。

特別養護老人ホーム以外でも、要介護3で入居を検討できる施設はあります。
有料老人ホームは特養よりも費用面では高くなるものの、条件が緩くなるため入居がしやすいでしょう。各施設が趣向を凝らしているので入居者の好みにあった施設が選びやすいといったメリットがあります。
認知症を持つ要支援2以上の人であれば、グループホームという選択肢も。

介護老人保健施設(老健)への入所は可能ですが、在宅復帰を目指す施設のため、長期入所には向きません。
その他、施設種類に問わず、それぞれの施設で入居条件が異なるため、気になる施設があれば入居可能か問い合わせてみてください。

要介護3の介護保険サービス費

介護保険では、要介護度によって利用できる介護サービス費の限度額などが決められています。要介護3でかかる介護サービス費について、在宅と施設の違いを見ていきましょう。

在宅介護の支給限度額
在宅介護で利用できる要介護3の支給限度額は以下となります。

▼要介護3の支給限度額
1カ月あたり 27,048円

*1割負担の場合、1単位10円で計算

上記は1割負担の場合ですが、この割合は利用者の所得に応じて1~3割と変動します。2・3割の対象の方は上記金額の2・3倍となりますので、注意してください。
なお、支給限度額を超えた分の利用については、全額自己負担です。

特別養護老人ホームの介護サービス費

特別養護老人ホームに入所する場合は、入居一時金といった初期費用は必要ありません。必要となる月額の費用には、介護サービス費と居住費、食費、そのほかの日常生活費などがあります。

介護サービス費は介護度によって金額が変わります。要介護3で自己負担1割の場合の介護サービス費は次の通りです。

▼特別養護老人ホームに要介護3で入居した場合の介護サービス費
ユニット型個室/ユニット型個室的多床室
793円(1日あたり) 23,790円(1カ月あたり)

従来型個室/多床室 
712円(1日あたり) 21,360円(1カ月あたり)

*1割負担の場合、1単位10円で計算

特定施設入居者生活介護の介護サービス費

特別養護老人ホームをはじめとする介護保険施設以外で、介護を提供する施設として「特定施設」があります。特定施設とは、定められたスタッフの人員配置や設備の基準をクリアしている施設です。

この特定施設入居者生活介護の指定を受けているのは、介護付き有料老人ホーム、養護老人ホーム、一部のケアハウスなどとなります。

特定施設では施設による介護サービスの提供があることが特徴で(住宅型有料老人ホーム、通常のサ高住などには介護サービスがついていません)、この介護サービス費は要介護度によって一定です。

▼特定施設に要介護3で入居した場合の介護サービス費
674円(1日あたり) 20,200円(1カ月あたり)

*1割負担の場合、1単位10円で計算

特定施設の介護サービスは特別養護老人ホームより安い金額ですが、入居一時金がかかるなど、費用をトータルで見ると特養よりは高額になる傾向です。

まとめ

要介護3は在宅介護での負担が大きくなる境目といえます。将来的に老人ホームへの入居を考えているのであれば、要介護3はひとつの目安になるでしょう。
もちろん各家庭の事情や本人の希望によって、早めに入居したり、できるだけ自宅で介護をしたいといったこともあるかもしれません。

ですがいずれの場合も、早めに準備をしておくことで希望の老人ホームが見つかりやすくなりますし、いざというときに焦らずにすみます。
また、特別養護老人ホームへの入所を希望するようでしたら、すぐに入居できるとは限らないため、早めに申し込みをしておくとよいでしょう。

老人ホーム相談室LP

著者:オアシス介護

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