記事公開日 2022/05/28
記事公開日 2022/05/28
まずは、お母様が退院されたあと、どのような生活を望まれるかを考えていきましょう。
例えばご本人が「自宅に帰りたい」と思っていても、住宅がバリアフリーでなかったり、家族は仕事で日中の介護を行うことが困難だったりと、気持ちだけではどうすることもできない事情があるかもしれません。
相談者もこのような状態かもしれませんね。
そのようなときには、まずは実際に自宅に戻れない理由をご本人と家族でしっかり協議しましょう。
それから、ご希望に合った老人ホームの種類を考えていきます。
まず入居先として挙げられるのは有料老人ホームです。有料老人ホームと一口に言っても、そのサービスはさまざまで、医療管理が得意な施設もあれば、アクティビティなどの余暇活動が充実している施設もあります。
また、介護保険施設である特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)などもありますが、利用条件はそれぞれ異なるので、このあと紹介していきます。
もし、ご本人や家族が「退院してすぐは無理だけど、もう少し元気になったら自宅で一緒に暮らしたい」と考えているのであれば、将来の自立を支援する老人ホームや施設をオススメします。
一般的な老人ホームでは、施設の介護職員や外部のサービスを利用することによって、日常生活の介護や支援をしてもらうことがほとんどです。しかし、リハビリについてはその内容が異なってくる場合があります。
そのため施設を探すポイントとして、以下に着目するのがよいでしょう。
・老人ホームにリハビリの専門職が配置されているか
・レクリエーションなど、身体を動かす機会が定期的に設けられているか
・併設や外部の通所系サービスと連携ができているか(施設内でサービス提供がない場合)
高齢者は若い人に比べて身体を動かす機会があまり多くないため、何もしないでいると一気に体力が落ちてしまいます。
少しでも元気になって自宅への復帰を考えるのであれば、身体を動かすサービスに特化した老人ホームを考えていきましょう。
また、介護老人保健施設は在宅復帰型施設の代表となりますが、施設の運営理念によって入居期間が1~3カ月と短く定められている場合や、「看取り介護」を行うことで終の棲家として最期まで入居可能な場合もあります。
もし利用を検討するのであれば、その点について必ず確認しておきましょう。
予期せぬ病気を患わってしまい、自宅で一緒に暮らすことが難しいことも往々にしてあります。
そのように自宅での生活が困難で、将来的にもずっと老人ホームで過ごすことを考えているなら、体調や状態の変化に対応をしてくれる施設を探すのがよいでしょう。
老人ホームによっては、医師の往診サービス提携や看護師の配置がないなど、医療サービスが提供されていないことがあります。
高齢者は、加齢に伴った身体能力の低下に限らず、風邪やインフルエンザなどにより急激に体調を崩してしまうケースがあります。
このような急激な体調の変化があった場合に、施設によっては満足な医療サービスが得られず入居継続が困難となってしまうこともあるのです。
長期的に施設で生活することを視野に入れるのであれば、「医療サービスが必要となったら施設はどこまで対応してくれるのか」を入居する前に見学や契約書で確認しておきましょう。
また、特別養護老人ホームは「終の棲家」になり得る終身タイプの施設ですが、国の基準として原則要介護3~5に認定された方しか入居ができません(例外あり)。
要介護度が軽いうちは選択肢に上げることができないので注意しましょう。
長期的な入居を想定していたものの、結果的に自宅に戻れたケースもあります。
私が実際に関わったご家族の中には、「思っていたより元気になったので、もう一度自宅で一緒に暮らしてみようと思います」といったお話しをされる方もいます。
一概に、「入居=最期まで」と深く考え過ぎる必要はありません。
元気な状態から、急な病気で入院になってしまうのは大変でしょう。それに加えて医療機関から退院を促されてしまうと、ご家族は「どうしたらいいのか……」とパニックになってしまうこともあると思います。
そのような場合は、まず入院先にいるソーシャルワーカーに相談してみるのが一番ですが、紹介先の施設について、中身まで詳しく説明してくれるわけではありません。
本当は紹介された施設をひとつひとつ見学して説明を聞くのがベストですが、時間と労力を考えると現実的に厳しい状況でしょう。
たくさんの施設を見学する時間がとれないときには、インターネットが便利です。下調べをしていくつかの施設に的を絞っておくだけで、その後の労力削減になります。
ご自身の時間とタイミングを見ながら上手く使い分けていきましょう。