記事公開日 2022/11/22
記事公開日 2022/11/22
グループホームの食事は、入居者とスタッフが一緒に調理をし、一緒に食卓を囲みます。他の施設にはない大きな特徴といえるでしょう。
今回の記事では、グループホームの食事のメニューや役割、食事代などを詳しく解説します。
グループホームとは、認知症の高齢者が介護職員など専門スタッフの支援を受け、能力に応じた自立生活を送る家のことです。認知症対応型共同生活介護とも呼ばれます。
知的障害者・精神障害者が利用するグループホームもありますが、この記事で指すのは認知症高齢者グループホームとなりますので、ご了承ください。
グループホームに入居できるのは認知症の診断を受けた65歳以上で、要支援2・要介護1~5の認定を受けている必要があります。
また、グループホームは地域密着型サービスのため、施設と同じ市町村に住民票があることも条件のひとつです。
グループホームは、自宅での生活に近い家庭的なケアを実現するために作られました。認知症の進行を緩和する役割もあります。
定員は1ユニット5~9人と少人数。入居者は食事の支度や掃除、洗濯といった家事をできる範囲で行ないながら共同生活を送ります。
食事に関しても他の施設と異なり特徴的です。入居者とスタッフが一緒に食材を買い物に行って調理をし、みんなで食べるなど、家庭的な雰囲気の中で食事を楽しめる施設もあります。
グループホームの食事は、実際どのようなメニューなのでしょうか。
その具体例をご紹介します。
朝食
昼食
おやつ
夕飯
朝食
昼食
おやつ
夕飯
グループホームの食事は1日3食が基本で、間食におやつを食べることも。メニューは日替わりのため、入居者は飽きることなく日々の食事を楽しめます。
クリスマスならチキン、お正月ならおせちなどとイベントに合わせた「特別食」が提供されることもあり、入居者が季節を感じられるような工夫もされています。
グループホームの食事は一般的なレストランと違い、下記のような特徴があります。
ここでは、グループホームの食事の特徴について詳しく解説していきます。
グループホームでは、野菜・肉や魚・主食などがバランスよく組み合わされた献立作りをしています。栄養バランスやカロリーが考慮された健康的なメニューといえるでしょう。
特に一人暮らしの高齢者は、自分の好きなものしか食べなかったり簡単な食事ですませたりするなど、栄養バランスが偏りがちです。健康的な食事を摂れるのもグループホームのメリットといえます。
なかには入居者の健康を考えて管理栄養士が献立を作る施設もあります。
グループホームでは、咀嚼・嚥下機能が低下している入居者でも無理なく食事ができる工夫をしています。
高齢者は食事中にむせ込んだり食べ物が噛みづらかったりする方も多いため、必要があれば食事形態を変更します。
例えば、常食を「きざみ食」や「ミキサー食」に変更する、汁物にトロミをつけて飲み込みやすくするなどです。一人ひとりの状態に合わせた食事形態で提供されるので、咀嚼・嚥下機能が低下している方でも安心です。
有料老人ホームや特養などでは施設側が食事を準備しますが、グループホームでは入居者とスタッフが共同で食事を作ることもあります。
例えば、事前に入居者に「何が食べたいか」を尋ね、食べたいメニューを考えてもらいます。そして入居者もスタッフと一緒に材料の買い出しに行き、スタッフの見守りのもとで包丁を使って野菜を切るなど調理にも参加。
こうしてできあがった料理をみんなで食べるのは、グループホームならではの楽しみともいえるでしょう。
グループホームの食事は入居者にとって大切な役割を果たします。
ここでは、グループホームの食事の役割について詳しく解説しましょう。
グループホームの食事には、健康維持に必要な栄養素がバランスよく含まれています。
筋力や身体機能の維持には、十分な量のたんぱく質を摂取することが大事です。また、特に高齢女性は骨粗鬆症の方も多く、転倒時に骨折してしまう可能性があります。予防にはカルシウムやビタミンDが必要でしょう。
グループホームでは、食事を通して入居者の筋力維持や骨粗鬆症などの病気予防もしているのです。
グループホームの入居者は、食事を通して頭や指先を働かす機会がたくさんあります。
頭を働かせて脳にたくさんの刺激を与えること、手先を動かして脳を活性化させることで、認知機能の衰えを防ぐ効果が期待できます。
グループホームでは入居者とスタッフが食卓を囲んで食事をとるため、1日3回の食事はコミュニケーションの機会となります。
入居者同士、スタッフとの会話が自然と増え、グループホームでの生活が楽しくなるきっかけになるでしょう。
グループホームの食事には、毎月いくらかかるのでしょうか。
ここでは月々の食事代や自己負担額、消費税について説明していきます。
グループホームの月額の食事代は、月当たり4万円前後を目安に設定する施設が多いようです。
単純計算すると1日当たり1,300円程度で、1日3食の食事代やおやつ代などが含まれます。
グループホームの食事代は介護保険給付の適用外です。そのため全額自費となります。
なお、理美容代や娯楽費、おむつ代といった日常生活費も全額自己負担となります。
食事代に消費税はかかりません。食費や介護保険サービスの消費税は、消費税法により非課税とされています。
ただし、入居者の希望によって特別な食事が提供される場合は課税されるため、注意が必要です。
グループホームを選ぶときに食事を重視するのであれば、「食事」に関する3つの観点から選んでみましょう。
グループホームを選ぶためには実際に施設を「見ること」が大切です。
施設ごとに設備や雰囲気は異なります。資料や口コミだけで判断するのではなく、施設を見学してできれば実際の食事の様子も確認してみましょう。
食堂にほこりがたまっていたり、食器が汚れていたりなどの不衛生な環境では、せっかくの食事も残念なものになってしまいます。見学時には食堂や食器類が清潔かどうかを確認しましょう。
実際にそこで食事をすることを想像し、快適な食事ができそうかをチェックします。
スタッフは自分が食事をしながら入居者の食事介助もするなど、さまざまな対応に追われてしまうことがあります。慌ただしい雰囲気の中では、ゆっくり食事を楽しめないかもしれません。
必要以上にバタついていないか、入居者同士で楽しそうに会話しているかなど、入居者が楽しく食事できる環境かも確認してみてください。
高齢者のなかには、咀嚼・嚥下機能が低下している方や、スプーンやフォークなどのカトラリーを持つことが難しい方もいます。そのような方に対して、適切な食事介助がされているかを見てみましょう。
例えば、通常のスプーンを持つことが困難な方に対して、持ちやすい柄の太いスプーンを提供しているかなどです。「本人のできること」に目を向けられているかどうかは大きなチェックポイントでしょう。
入居者はスプーンを持つこと自体「できる」にも関わらず、スタッフが始めから介助をしてしまっては、本人が自立した生活をできているとはいえません。
見学時には介助に対する姿勢を施設に質問し、「本人ができることを尊重しつつ、できない部分のみ補助しているか」を確認してみるとよいでしょう。
ここではグループホームでの食事作りに関するよくある疑問にお答えします。
A.入居者にはできる範囲で作業をお願いするため、無理なく調理に参加できることが多いでしょう。
グループホームでは入居者だけで料理をするわけではありません。スタッフが入居者をサポートし、共同で食事を作ります。
また、認知症がある高齢者は適切な作業工程で調理を進めることが難しいかもしれません。
しかしスタッフはそのような状況を理解しているため、都度「次は〇〇しましょう」などと声をかけながら調理を進めます。
入居者も次にするべき作業が分かり、食事作りを楽しめます。
A. 特に男性は調理の経験がなかったり、苦手意識を持っていたりする方が多いですが、施設は入居者の負担が少なくなるような工夫をしています。
火加減の調整がいらない電子レンジや炊飯器を使うなど、誰もが調理がしやすい環境を整えている施設もあります。
それでも参加したくなければ、食事作りは強制ではありません。ご本人の意思を尊重できるでしょう。
心配であれば、入居前に施設へ問い合わせておけば安心です。
また、食事作りを外部に委託している施設もあります。絶対に食事作りを避けたいのであれば、調理を外部委託している施設を探す方法もあるでしょう。
グループホームの食事は、入居者も一緒に調理をすることがあるなど、他の施設とは違った特徴があります。栄養バランスが考えられ、また咀嚼・嚥下機能が低下している方でも食べやすい工夫がされています。
グループホームで暮らす高齢者は、認知症の診断を受けた方です。食事にまつわる工程では頭や手指を使うなど、認知症の進行を緩やかにする効果もあります。
気になるグループホームがあれば見学に行き、実際の食事の様子を確認してみるとより良い施設を選べるかもしれません。できればお昼の時間に見学をし、「食器や食堂の清潔さ」「入居者が楽しそうか」「本人の自立を促しているか」の3つを確認しましょう。
オアシス介護では全国のグループホームを探せます。エリアや費用などで絞って検索できるため、簡単に条件に合った施設が見つかります。「グループホームに興味があるけれど、どこで探したらいいかわからない」という方は、オアシス介護をご活用ください。